「エナ、何してとるのー?」

「あっ、トムさん 

 今ね、クリエイターズマーケット
 っていうところでフィギュアを買おうとしてたんですよ」 


「へー、そんなのがあるんやねえ」 

「そうなんですよ。
 いろんな人が自分でフィギュアとか
 3Dプリントを使ったものを出品してて
 気に入ったフィギュアがあったら
 好きな素材を自分で選んで買えるんですよ」

「へー

 石膏フルカラー
 ナイロン
 アクリル
 金やチタンまで!?
 なんやごっついなぁ」


「マルエージング鋼とか名前からしてトキメキますよね」 

「分かるわぁ

 ほんで?
 これ好きな素材選んで、こうたらええの?」

「はい、今回は色付きフィギュアなので、石膏フルカラーを選んで買います。
 これよりいいやつでフルカラープラスチックっていうのがあるんですけど...」 

高っ!?
 なんやのん!桁が一つおかしない!?
 風凪亭のラーメン100杯くらい食べれるで!?」 

「さすがにこれは手が出ないので、石膏フルカラーなんです。
 こっちは、ほら」 

「あぁ、せやね、これくらいならまだおっちゃんも安心やわ。
 他にもナイロンとか、アクリルっちゅうのあるけどこれでええの?」 

「色がついたのだと今のとこ、石膏フルカラーとフルカラープラスチックだけ
 なんです。
 塗装技術とかある人は、アクリル素材とかで出力して自分で色塗ったりして
 るそうですよ」 

「そうなんやねぇ、ほんなら俺もそれ一緒にこうてーや。
 ガレキで鍛えた腕、発揮しちゃる!
 って、おお...アクリル素材も結構いいお値段するんやね...」 

「精度がいい分どうしてもお値段は高くなっちゃいますね。
 でも、それならサイズを小さくしてみるとか、こっちの空洞版を選べば」 

「おー、結構変わるもんやねぇ。たった1,2センチ違うだけでこんなにも
 変わるんやなぁ」 


「これくらいならどうです?」 


「うん、それくらいなら、今月のプラモ買うの我慢すれば」 


「じゃあ注文しちゃいますねー」 


「うーん、未来に生きとるねぇ」 


翌日

 

「エナ、業者から連絡が来て、
 厚み足らない部分破損しちゃうかもしれんけど、
 それでもええか?って 
 大丈夫なんこれ?」

「うーん、絶対大丈夫か、と言われたら絶対とは言えないです。
 やっぱり紐とか毛とか、尻尾とかは細かったりしちゃいますから」


「じゃあキャンセルしといたほうがええかなぁ」 

「うーん、難しいとこです。
 僕は、その連絡もらっても、いつもそのまま造形してもらってるんですが
 その結果なんの破損もなくちゃんと出力してもらってますし。
 でも可能性はあるって事なんで、絶対壊れないとは言い切れないんです...」

「うーん...なるほどなぁ、壊れちゃう"可能性もある"けど
 大丈夫かもしれないよ、って事やね。」 

「ですです。結構高価な物なので、
 もし心配ならキャンセルもできますから、やめときますか?」 

「やっ...せっかくやしそのまま造形進めてもらお!
 返事してくる!」


「はい、いいもの届くといいですね」 


一週間後 



「エナ―届いたで―!」 

「開けるときも注意してくださいね。
 梱包材に包んでくれてはいますが、小さいパーツはホント細いので
 間違って変な力をかけちゃうと折れちゃいますからね。」


「そーっと、丁寧にやな」 


「僕のは破損もなくてちゃんとできてました―!」 

「おおお、かわいーやんかぁ!
 ええな!ええなぁ!色付いてて淡っこくてかわええなぁ」

「嬉しいですよねぇ。

 トムさんの方はどうです?」

「うん!俺のもばっちり、壊れとるとこもなさそうや
 凄いなぁ、アクリルだとこんな細かいところまで造形出るんやなぁ。」

「でもちょっとザラついてる部分がありますね。
 サポート材のところなのかな」 

「フフフ、こっから俺の長年にわたるガレキ作りで鍛えたやすりがけの出番や―!

 やるでぇー!

「トムさん楽しそうでよかった。

 僕はもう色が付いてるから、落とさないようにケースに入れて飾っとこう。
 可愛いの買えてよかったなぁー。


 しかしこの熊の人形、どことなくトムさんっぽいんだよねぇ。
 たまたま・・・かな?」


© 2017 ディビス・マーティン。 東京都墨田区押上1丁目1−2 東京スカイツリー
Powered by Webnode
無料でホームページを作成しよう! このサイトはWebnodeで作成されました。 あなたも無料で自分で作成してみませんか? さあ、はじめよう